「曲がる電池」として注目されるペロブスカイト太陽電池が、政策・研究・市場の三方面でにわかに加速しています。2025年10〜11月の政権発表で技術開発支援が明確化され、国内研究(鉛代替・大面積化)も進展。今回は、政策背景、技術の現況、実用化に向けた課題とビジネス機会を最新情報を踏まえて整理します。
1) なぜ今「国策」なのか — 政治・政策の後押し
2025年10月の所信表明で総理は「原子力やペロブスカイト太陽電池をはじめとする国産エネルギーは重要」と明言し、その方針は11月21日の「総合経済対策」でもGX(グリーントランスフォーメーション)推進の柱に位置づけられ、ペロブスカイト太陽電池の技術開発支援が打ち出されました。政策パッケージ全体は約21.3兆円規模で、成長投資に相当部分が割かれています。国の“後押し”が実際の補助・研究投資へつながる見込みが強まりました。
2) 科学・技術の最前線
鉛フリー(スズ系)ペロブスカイトで大面積均一成膜:京都大学の研究グループが、鉛を使わないスズ系材料で「大面積でも均一に薄膜を作る技術」を開発したと報じられました。鉛使用を避ける動きは、環境規制や実装時の社会受容性(廃棄・リサイクル規制)を考えるうえで重要です。研究グループは2030年頃の実用化を視野に入れています。
タンデム(多接合)化の進展:ペロブスカイトはシリコンと組み合わせる「タンデム型」での発電効率向上が大きな期待。研究界隈と一部企業でセル効率の世界記録更新やプロトタイプが相次いでいます(研究・企業発表は継続中)。
安定性・耐候性の課題:効率は急速に上がっていますが、屋外で長期間安定動作させるための封止技術や材料の耐久性(特に高温・湿度下)が依然として実用化までのハードルです。これらは政策資金の注入対象にもなっている分野です。
3) 産業・サプライチェーンの視点(日本の強み)
原材料の優位性:ペロブスカイトの一部材料(例:ヨウ素など)で日本が強みを持つとの指摘があり、資源面での利点があると論じられています。加えて、長年の半導体・材料プロセス技術を持つ国内メーカーや大学が多い点は、実装・量産化での強みになります。
企業・投資の注目:「テーマ株」として市場でも関心が高まっており、関連企業や部材サプライヤーへの投資関心が強まっています(投資メディア等での特集が増加)。ただし投資は技術ロードマップと実用化(耐久性・量産コスト)を見極める必要があります。
4) 実用化への「あと一歩」 — 主な課題
耐久性(屋外長期安定):封止(パッケージング)技術と材料劣化対策が最重要。
鉛問題:環境規制対応のため鉛フリー化(スズなど代替)とその性能・安定性確保。京都大の進展は有望。
大面積化・量産工程:実効効率を維持したままロールツーロール等の量産プロセスに適合させる必要。
信頼性評価の標準化:長期信頼性評価(国際規格)や試験プロトコルの整備。
これらは政策支援の投入先としても優先順位が高く、短中期での克服が期待されています。
5) 政策と市場へのインパクト
政策面:高市政権の所信表明→総合経済対策と流れができ、研究開発・実証・量産支援のための資金や規制対応が進む可能性が高い。国が「普及」を旗振りすることで、関連インフラ(許認可、補助金、標準化)が早まる期待があります。
市場面:短期的には「テーマ株」や部材サプライチェーンの物色が進む一方、実需(屋外設置での本格普及)には耐久性とコストのさらなる改善が必要。中長期(2030年前後)に鉛フリーの大面積化が実現すれば、本格的な商業導入の可能性が一気に高まります。
出典(主要参考)
首相官邸:高市総理の11月21日会見(総合経済対策関連)。
nippon.com:総合経済対策(21.3兆円)に関する解説。
京都大学研究ニュース(報道):鉛を使わないスズ系ペロブスカイトで大面積均一成膜の技術開発。
IEEFA 解説:日本のペロブスカイト戦略に関する考察(政策面の論点)。
東洋経済オンライン:投資視点でのテーマ取り上げ(「狙い撃ち!必勝テーマ株」等の話題)。